SMA(単純移動平均線、普通の移動平均線)は、過去の終値の平均から算出されますので、 トレンドが変わったあと、新しい上昇/下降トレンドが発生したというシグナル(ゴールデンクロスやデッドクロスなど)を発するのが遅かったりします。
指数平滑移動平均線(EMA)と呼ばれる移動平均線は価格に追随するのが速く、トレンド転換のシグナルも速くでる傾向があります。
指数平滑移動平均線(EMA)とは
SMAでは例えば、100日前の数字と前日の数字を平等に扱い平均を出します。しかし直近の値動きを「重視」し、過去の値動きを若干「軽視」した方が、より精度の高くトレンドを表すこごとができるという考えがEMAの考え方です。
EMAとは Exponential(指数関数) Moving Averageの略で、
SMAはSimple Moving Averageの略です。
紫がSMAで水色の線がEMAです。
水色の線のほうが速く価格に反応していることがわかると思います。
また、計算方法などがEMAはSMAに比べると複雑です。
それもあってか 日本ではSMAと比べると一般的ではありませんが、海外ではEMAの方がよく使われております。
また、他のテクニカル指標にもEMAの考えが使われており、特にMACDはEMAそのものを使っています。
計算方法
一日目の計算方法は、単純移動平均と同じで、対象期間における終値の平均です。
二日目以降は
前日の指数平滑平均+k×(当日終値-前日の指数平滑平均)
k=2÷(n+1)、 n=期間
もし5日間のドル円の終値が以下である場合、 3日間のEMAを計算するとします。
1日前の終値 | 100 |
2日前の終値 | 101 |
3日前の終値 | 99 |
4日前の終値 | 89 |
5日前の終値 | 95 |
上記データのみ与えられているので3日前のEMAから計算します。
3日前のEMAは、EMAの一日目になるので
EMA=(99 + 89 + 95) ÷ 3 = 94
になります。
EMAの二日目は前の計算ででた数値を使います。
k = 2÷(3+1) = 1/2
EMA= 94 + 1/2 ×( 101 – 94) = 97.5
EMAの3日目も同様に
EMA= 97.5 + 1/2 ×( 100 – 97.5 ) = 98.75
になります。
EMAもまとめると以下になります。
日にち | 終値 | EMA |
1日前の終値 | 100 | 98.75 |
2日前の終値 | 101 | 97.5 |
3日前の終値 | 99 | 94 |
4日前の終値 | 89 | |
5日前の終値 | 95 |
EMAはSMA(普通の移動平均線)と同じ使い方!
EMAもSMAと同じく2本使って 「ゴールデン・クロス」や「デッド・クロス」 でトレンドの把握や売買の判断を行います。 以下は9日平均線(オレンジ)と20日平均線(青)です。
ゴールデンクロス
青い円のように短期移動平均線が長期移動平均線の下から上に交差することをゴールデンクロスとよびます。青い円にてトレンドが下降トレンドから終わり、上昇トレンドへとはいっていったことがわかります。
デッドクロス
赤い円のように短期移動平均線が長期移動平均線の上から下に交差することをゴールデンクロスとよびます。赤い円にて下降トレンドへとはいっていったことがわかります。
ただし、ゴールデンクロス・デッドクロスが起これば必ずトレンドが発生するというわけでなく、クロスが起きたとしても上の赤い円より前のようにトレンドが起こらないこともあります。
クロスは一つの目安として捉え、クロスが起こったあとはっきりとトレンドが現れたのを確認してから値動きに乗るとよいようです。
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