移動平均線は為替や株価などの相場の値動きが上昇傾向にあるか下降傾向にあるのかがひと目でわかるテクニカル分析での基本的な指標です。
計算方法
移動平均線はある特定の期間内にある株価の各終値で平均をとり、その平均値を結んだ線のことです。
移動平均線を見ることで、値動きが「上昇トレンド」にあるのか「下降トレンド」にあるのかを確認できます。
具体的には移動平均線が上向きで右肩上がりなら「上昇トレンド」で下向きで右肩下がりなら「下降トレンド」の傾向にあります
以下のようなドル円の5日(5期間)移動平均線を引きたいとして計算しましょう。
日付 | 終値(ドル/円) | 5日間の平均値 |
02/01 | 109.526 | |
02/04(月) | 109.882 | |
02/05 | 109.960 | |
02/06 | 109.964 | |
02/07 | 109.803 | 109.827(2/1~2/7) |
02/08 (金) | 109.727 | 109.867 (2/4~2/8) |
02/11 (月) | 110.367 | 109.964 (2/5~2/11) |
02/12 | 110.464 | 110.065 (2/6~2/12) |
02/13 | 111.2 | 110.237 (2/7~2/13) |
02/14 | 111.467 | 110.405 (2/8~2/14) |
5日移動平均線は、当日から過去5日間の終値を合計し、5で割って平均値を計算します。
これら表のように5日間さかのぼった平均値を線で結ぶと5日移動平均線ができます。
また期間を変えた平均線、10日平均線や21日平均線も
10日さかのぼってそれぞれの平均値を出して結ぶ、
21日さかのぼってそれぞれの平均値を出して結ぶ、
といったような同様の計算方法になります。
トレンドについて
為替や株などの相場は大きく動いた後には、さらに大きく値動きが変動する確率が高く、しばらくの期間は一方向に動きやすくなる性質があります。これがトレンドです。
短く説明すると相場の値動きはべき分布に従い、この分布は偏りがよく統計学で使われている正規分布よりも生じやすい分布です。
この偏った値動きに乗るには移動平均線でトレンドを把握することが重要です。
どの期間の移動平均線を使うか
移動平均線を見れば短期の値動きに惑わされずに価格が上昇傾向にあるのか下降傾向にあるのかを見分けることができます。
移動平均線には期間に応じて特徴があるので、トレードの目的に合わせて期間を選ぶ点が重要です。
たとえば、長期のトレンドを把握するときは、1年間のFXの営業日が約200日のため200日移動平均線がよく使われます。
また、短期のトレンドを把握するときは、1週間が5営業日、1ヶ月が20営業日なので、5日あるいは20日がよく使われます。
短期移動平均線の場合
短期移動平均線は比較的値動きに反応しやすいため、短期のトレンドを把握しやすいのが特徴です。
しかし、移動平均線の動きが短期的な売買の流れに左右さてしまいます。
長期移動平均線の場合
長期の移動平均線の特徴は、長期スパンでトレンドを把握可能な点です。
しかし値動きに対する反応が鈍いため、トレンドの発生ポイントを把握するのには向いていません。
長期の移動平均線は、数ヶ月から数年の長い期間のトレンドをつかむときや、トレード期間を長く取って、大きく利益を伸ばしたいときに使うと効果的です。
ゴールデンクロス、デッドクロスでトレンドの発生ポイントを把握する
短期の移動平均線と長期の移動平均線の2本を同時に表示してトレンド発生ポイントを把握する方法を説明します。以下は5日平均線(青)と20日平均線(オレンジ)です。
ゴールデンクロス
青い円のように短期移動平均線が長期移動平均線の下から上に交差することをゴールデンクロスとよびます。青い円にてトレンドが下降トレンドから終わり、上昇トレンドへとはいっていったことがわかります。
デッドクロス
赤い円のように短期移動平均線が長期移動平均線の上から下に交差することをゴールデンクロスとよびます。赤い円にて下降トレンドへとはいっていったことがわかります。
ただし、ゴールデンクロス・デッドクロスが起これば必ずトレンドが発生するというわけでなく、クロスが起きたとしても上の赤い円より前のようにトレンドが起こらないこともあります。
クロスは一つの目安として捉え、クロスが起こったあとはっきりとトレンドが現れたのを確認してから値動きに乗るとよいようです。
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